ダイエット方法は世の中に数多く存在しますが、健康的に痩せるためには食事メニューにも気をつけましょう。
過度なカロリー制限や「○○ダイエット」など、同じ食べものだけを食べるようなやり方は、一時的に減量しても、その後リバウンドを引き起こすだけでなく体調を崩す危険性もあります。
食事制限をしながら栄養バランスを整える際、参考にしたいのが「PFCバランス」という考え方です。
今回は、PFCバランスについて、目安となる計算方法などについてご説明させて頂きます。
・PFCバランスとは
PFCバランスとは、摂取カロリーのうち三大栄養素の「P=たんぱく質」「F=脂肪」「C=炭水化物」がどれくらいの割合を占めるかを示した比率のこと。
このPFCバランスを整えることによって極端な栄養の偏りを防ぎ、栄養バランスを整えながら健康的にダイエットすることができるのです。
厚生労働省では「エネルギー産生栄養素バランス」として、生活習慣病の予防・改善の指標となる三大栄養素の目標量を、以下の通り提示しています。
・たんぱく質:13~20%
・脂質:20~30%(飽和脂肪酸は7%以下とする)
・炭水化物:50~65%
ただしこの数値は、あくまでも生活習慣病予防のための指標です。
そのため、ダイエット時にはこの数値を変更させ、ダイエット向きのバランスにする必要がございます。
・まずは自分が摂るべき摂取カロリーを把握しよう
PFCバランスを設定する前に、まずは自分に合った摂取カロリーを計算しましょう。
ただ痩せる、体重を落とすことだけが目的であれば、摂取カロリーを大きく制限することで体重は減少していくでしょう。
しかしその方法は健康的ではなく、体脂肪以上に筋肉を大きく減少させてしまい、リバウンドを起こす可能性が高まります。
健康的なダイエットを目指すのであれば、カロリーを適度に摂って筋肉をできるだけ減らさないようにしながら、体脂肪を減らしていく必要があります。
そのための摂取カロリーのベースは、「除脂肪体重×40kcal」を目安に計算してみましょう。
除脂肪体重とは、体重から体脂肪分の重りを引いた数値です。体脂肪計などを使い、体脂肪率が測定できたらそこから計算してみてください。
仮に体重60kg、体脂肪率15%であれば、
・60kg×0.15=9kg ⇒ 60kg-9kg=51kg
除脂肪体重は51kgということになります。
その場合、
・51kg×40kcal=2,040kcal
これが1日の摂取カロリー目安です。
摂取カロリーは、日頃の生活習慣や環境によっても異なりますので、あくまでも目安として活用しましょう。
・PFCバランスを計算してみよう
では、実際にPFCバランスを計算してみましょう。
ここでは分かりやすくするために、先ほどのモデルケース(体重60kg・体脂肪率15%・除脂肪体重51kg・摂取カロリー目安2,040kcal)を使って計算していきます。
・たんぱく質は除脂肪体重の2~3倍を目安に
まず、たんぱく質の摂取量を確保しましょう。たんぱく質は、除脂肪体重の2~3倍(g)を目安に摂取することをオススメします。
・51(kg)※除脂肪体重×2~3=102~153g
ということになります。
筋肉をしっかり残しながらダイエットするためには、1日あたり102~153gのたんぱく質量が必要です。これをkcal計算すると、たんぱく質は1g=4kcalなので、
・102~153g×4kcal=408~612kcal
となります。つまり摂取カロリーのうち、408~612kcalはたんぱく質が占める必要があるというわけです。
・脂質は制限しすぎも避ける
次に脂質を計算します。目安は、摂取カロリー全体の15~20%に設定するとよいでしょう。
ダイエット時には、脂質を極力摂らないようにするという人もいるようです。
しかし、脂肪の過剰制限は体調不調を引き起こすリスクが高まりますので、くれぐれも注意してください。
2040kcalの摂取カロリーのうち、
・2040kcal×0.15~0.2=306~408kcal
となります。脂肪は1g=9kcalなので、1日当たり34〜45gが脂肪の摂取量目安です。
・炭水化物で調整しよう
最後に、炭水化物の摂取量を計算しましょう。摂取カロリーからたんぱく質と脂質を引いた数値が、炭水化物の摂取目安となります。
・2040kcal−(408~612kcal【たんぱく質】+306~408kcal【脂質】) =1020~1326kcal
炭水化物は1g=4kcalなので、255~332gが摂取目安です。
まずはたんぱく質と脂質の数値を設定し、そこから炭水化物の量で調整するとよいでしょう。
最近では、炭水化物をほとんどカットする糖質制限のダイエットが人気を博しています。しかし糖質制限ダイエットは、心身ともにつらく、続かない可能性があります。また、減量後も継続し続けるのは難しいでしょう。
しかし、PFCバランスを保っていれば、炭水化物を摂取してもダイエットすることは可能なのです。
・PFCバランスを守りつつ食事コントロールを
PFCバランスを守ることで、摂取カロリーを大きく減らすことなくダイエットすることができます。
しかし、これはあくまでもしっかり運動をした時に限ったことです。
運動をせずにPFCバランスだけ守っても、それほど大きな変化は期待できません。
そのため、しっかり筋トレなどの運動を行ったうえで実施しましょう。
ORIGEM トレーナー 笠川